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Alpes Maritimes |
いつも一緒に滑っているアレックスが、「今度、2週間の休暇を取る。 アヴィニョン(アレックスの彼女が住んでいる)に行くが、彼女が仕事の時は海岸アルプス(Alpes
Maritimes)へ山スキーに行くつもりだ、一緒に山スキーする?」 フランス国内で働くと日本では考えられないくらいの休暇(ヴァカンス)を取ります、世界でいちばん休暇が多いんじゃないんでしょうか、日本だと周囲が許してくれませんが、フランスは違います。 各々が好きなように休暇を取ります。 「オマエ、ついこの前も休暇取ってたじゃねーか?」というツッコミは入れませんでしたが、私はアレックスという信頼のおける仲間と共に山スキーを初体験することになりました。 アレックスはすでに彼女とラブラブのヴァカンスに入っていてため、現地で待ち合わせることに。 場所はプロヴァンスの北の地方のル・ローズトゥベイという小さな町。 アヌシーからクルマで約4時間、日本人観光客はまず来ないと言っていい、とんでもない山奥です。 しかし、山奥だけに美しい山々、そして広大な湖と開発されていない分、自然の宝庫です。 無事、合流した私たちは更にクルマを走らせバルセロネットという町に着きました。 ここは、かのナポレオン3世が皇帝だった時代、メキシコからの移民を受け入れた町、そのため街並みや建物のつくり、民族衣装などに独特のものがあります。 「オレ、この町好きなんだよね」と、アレックス。 ここで食料を買い込み、私が使う山用のスキー一式を借り、更に山奥を目指しました。 今まで何度も書いてますが、今シーズンのフランスは雪不足の為場所や斜面の向きによって雪があったりなかったりなので、山の状況を見ながら、登る山を探しますが、スキー場に行くわけではないので、滑れそうな山があればどこでもオッケーなのです。 で、着いた先はフォーイルーズという、家が数件と登山者用の宿がある小さな集落。 長野県で言うと「秋山郷」のような“超”山奥、クルマを停めて、ここからはスキーで登っていきます。 ここで、山スキーについて簡単に説明します。 文字通りスキー場ではなく全ての「山」を対象としていて、自分でスキーを使って山を登っていきます。 道具に関しては、ブーツは長時間履いていても疲れなくて、スキーをするときは普通のスキー靴と同様に足首を固定し、歩くときは足首の固定を解除できる様に作られたもの、スキー板はあまり変わりありませんが、丈夫で軽いもの、金具に関しては滑るときは普通のスキーと同じで、歩くときにはかかとの固定が解除され歩きやすくなるものを使います。 山を登る際、スキーの滑走面にフランス語で「ポトフォック」(日本ではシール)と呼ばれる滑り止めを貼り付けたり、氷のような硬い斜面を登るときは「クトー」と呼ばれる鉄のツメを取り付けます。 慣れない私はアレックスに付いて行くのが精一杯です、そんな私を気遣ってはくれますが、「これスポーツだから」と、手加減はしてくれません、「走ってる」ようなものでとにかく熱いです、汗がダラダラ出てきます。 雪山をスキーでひたすら登ること約4時間、山奥にポツンと建っている1件の「山小屋」に到着しました。 今日はここに泊まります、この日の夜は我々2人と別のグループ3人だけでした。 フランスには山々のいたるところにこのような山小屋があります、普段は誰もいません、自分たちで勝手に使うことが出来ますが、後でフランスの山岳協会にお金を任意で払う仕組みになっています。 まず最初にすることは備え付けのストーブに火を入れ、外から雪を持ってきて水を作ることから始めます。 この水を料理や食器洗い、次の日の飲料水など全てに使います、これぞアウトドアです。 また、自分たちで出したゴミはもちろん、トイレ(山小屋にはトイレはありません、スコップ片手に外でします)で使った紙なども持って帰らなければなりません。 次に寝場所ですが、簡単なベットと毛布が用意されていました、屋内とはいえ寒いのでスキーウエアを着たまま毛布を何枚も掛けて寝ました。 次の日の朝、山小屋を発ち更に上へと登っていきます、何時間か登ったのちに着いた所はなんとイタリア国境、とはいっても国境に線が引いてあるわけでもなく、周りにあるのは山ばかり。 まるで密入国者みたいと言えば聞こえが悪いが、映画「サウンドオブミュージック」のラストシーンの風景と言えばいささか聞こえが良いかな。 ここで我々は一旦スキーを脱ぎ、スキー靴に「クランポン」(滑り止めの鉄のツメ)を取り付け、「ピオレ」(ピッケル)を片手に、国境にまたがる山「テット・ド・ラ・フレマ」(3151m)の山頂に登ってみました。 クランポンが雪を、氷を、そして山の岩肌をその鋭いツメで捉えていきます。 テット・ド・ラ・フレマを含むこの一帯はメジャーではないのでまず日本人は来ないでしょう、よって日本人として初登頂になったと勝手に決めさせていただきます。 この後少しスキーで下り、昼食と休憩を取り、また何時間か山を登り、そしてクルマを停めてある所までひたすら滑って下山しました。 下りはあっという間でしたが、とにかく「楽ちん」のひとこと、自分の足で登った分、下るときの気分は爽快でした。 |
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スキーを使って 登ります |
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歩く時はかかとが 自由になります 後ろに見えるのが 泊まった山小屋です |
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この山が 「テット・ド・ラ・フレマ」 そして、ここはイタリア |
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頂上にて 日本人として初登頂、 しかし へばってる風の私 |
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最後に我々の滑りを見てやってください |
フランス代表 アレックス |
日本代表、 そして日本人初滑降(?)の私 |
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